「そして、誰もいなくなった」最終回。
あの歪んだ復讐心は分からなくもないんですよね……。
途中、「ああこの人が黒幕か」と当たりをつけて見ていたので、その黒幕に感情移入してしまったせいかもしれません。
ところで、私の人生、裏切られることが多数で、どこかの時点で「人間は裏切ることが大前提」という歪んだ考えを持つように。
小学校の頃、クラスでどこの派閥にも属さず、中立の立場だった私に、各派閥の子たちが、それぞれ相談しにきました。……相談というより、「悪口」ですね。
どの派閥にも属さない私だから、話しやすかったのでしょう。それに、私は「口が固い」ことでも評価されていたものですから、いろんな子が、自分が属する派閥の悪口を吐き出しにきたものです。いわゆるクラスの相談役です。
ところが、そんな私を母は心配しました。
「……大丈夫?」と。
何を心配しているのかと思いました。「クラスの相談役」として、みんなから信頼されているというのに。
が、母の心配は見事的中。
私が、いろんな子の悪口を言っているという噂が立ち、孤立。
相談にのっていたときに、相手が吐き出す悪口に乗じることがあったのですが、それが原因でした。
その後も、いろんな裏切りにあいました。私も、知らず知らずのうちに裏切ってしまったこともあります。
高校時代は、自分を含めて人間不信に陥りました。
「誰も(自分も)信じられない!」と。下手したら、自殺していたかもしれません。
それを救ったのは、倫理社会の教科書に載っていた哲学者の言葉。
要するに、「相手に見返りは期待するな」的な言葉です。
貸した金は上げたと思え……的な。
これで、すっきりしたんですよね。目の前が開けた。
……あれから30年以上が経ちますが。今も、時折小さな裏切りに出会っては、密かに傷ついてはいます。でも、裏切られた……と思うってことは、私はまだ他者を信じようとしているってことで、それはそれでいいことなのか……と思ったり。
いずれにしても。ここ最近、改めて痛感するのは、仕事とプライベートはきっちりと切り離すが吉ってことです。
相手も商売ですから。そりゃ、嘘もつけばおべっかもいいます。それをスマートに受け流す術を身につけたいものです。
……しかし、そうなると、本当、人間って孤独。
「そして、誰もいなくなった」では、シンイチは孤独から解放されましたが、それが本当の幸せかどうかは分かりません。
今、私が心から信じて、心から愛を注げるのは、マリモさんだけです。
……なんて書いたら、「痛い猫ババァ」とか、どこかで悪口言われそうですがw
追記。
デビューしてから6年ぐらいは、本当に売れなくて。
そのとき、テレビに出ていた武田鉄矢さんの言葉が沁みました。
「底辺にいるときこそ、人間の本性が分かる。底辺にいるときこそ、人間を見る目を養える」的な言葉です。
そう、底辺にいたとき、私の周りには誰もいませんでした。仕事でも、次々と人が離れていきました。それを恨むというのではなく、ただ、哀しかった。
そして、売れて。手のひら返しもたくさん見てきました。
この経験は、私の宝です。
出版業界って、六道輪廻そのものだな……と思う今日この頃。
解脱するには、筆を折るより他ないのですが。
なかなか、その覚悟ができずに、餓鬼界から畜生界をうろちょろ。