真梨幸子mariyukiko’s blog

【公式】真梨幸子(&マリモナミ)の最新情報

赤字作家

今月は、連載の最終回と、新連載の1回目がダブり、4本の原稿を上げなくてはいけないハメになり、さすがに、限界間近。

このままではイライラが爆発しそうなので、こんな真夜中にメイプルシロップたっぷりのミルクを飲んでしまいました。。。

仕事が詰まっているときは、糖質制限は地獄です。

 

……ということで、ひとつ、ゲラを戻しましたので、あとは50枚の原稿を残すのみとなりました。

今月は、本当に苦しいのですけれど(それで逃避して、ブログを更新しまくっているのですが)、でも、これは嬉しい悲鳴ってやつです。

前にも書きましたが、連載をいただくというのは、今の時代、本当に狭き門なのです。私程度の作家に連載の依頼がくるのは、「フジコ」シリーズの余韻のようなものです。

これも前に触れましたが、私の場合、作品によって売れ行きがバラバラです。なので、こう考えています。あまり売れなかった作品こそが、「真梨幸子」の本来の実力だと。そのラインを超えて売れたものは、「たまたま」運が良かったのだと。

そう考えると、私の商品価値は、まだ全然なのです。

ところで、小説家志望の人を対象に書かれたにもかかわらず、プロの小説家に熱烈に支持されている本があります。↓

「小説講座 売れる作家の全技術 大沢在昌Amazon CAPTCHA

 

もちろん、私も持っています。紙と電子書籍版の二種類。

で、この本の中に、実に恐ろしいことが書かれているのです。

「(単行本の)初版が売れて(出版社の)儲けが出るためには、初版四万部刷らないといけない」

なんてことでしょう。私は、今までこんな恐ろしい言葉を聞いたことはありません。つまり、初版四万部が刷れない作家は赤字作家であり、もっといえば「いらない作家」ということなのです。

もちろん、私も「いらない作家」の一人です。

ぶっちゃけますと、今の私の単行本の初版は、(出版社によってまちまちですが)、だいたい、7,000部〜1万部です。1万部刷っていただけるとなると、「マジですか?!」と狂喜乱舞。祝杯をあげる勢いです。でも、それじゃ、全然ダメなのです。

じゃ、なぜ、「いらない作家」の本も出版してもらえるのかというと、単行本初版四万部のベストセラー作家さん(前述の本では、日本では20人いるかいないか)の儲けのおかげなのです。版元に漫画の部署があれば、漫画の儲けで、赤字作家も何とか本を作ってもらえているのです。

そう考えると、本当に申し訳なくて、情けなくて。

そんな私が、連載をいただいているのです。そりゃ、頑張らないといけないわけです。

そして、私もいつか、「赤字作家」から脱却して、版元の儲けに貢献したいものです。