(長文です)
「人類(ホモサピエンス)」が誕生したのは約25万年前。
「文明」が誕生したのは、約1万1000年前。
つまり、人類は、約24万年は原始的な生活をしていました。狩猟や果物や木の実を採集しながら生きてきたのです。
ですが、約1万1000年前、人類に大革命が起こります。「穀物」との出会いです。
「文明」は、穀物を「農耕」することからはじまり、裏返せば、「農耕」がなければ、人類は未だ狩猟や採集の原始的な生活をしていたはずです。
つまり、「文明」は「農耕」が大前提になっているのです。日本でも、数万年続いた「縄文時代」が「農耕」の輸入によってあっという間に「弥生時代」という文明社会に生まれ変わりました。
なぜ、「農耕」は「文明」を生むのか。それは、農耕により「過剰」に食糧が作り出されるからです。しかも「計画的」に。「過剰」と「計画的」が、つまりは文明の正体です。「過剰」は「富」となり、「計画的」はルール(言葉・文字)を作るきっかけとなりました。「富」がやがて社会的ヒエラルキーと経済を作り、ルールが宗教や法律となっていくのですが……、まあ、細かいことは割愛。
穀類の「農耕」は、「安定」と「余裕」をも生みます。
穀類のすごいところは、そのエネルギーのコスパの良さ。タンパク質や脂質などで同じエネルギーを取ろうとしたら、どれだけの動物と果実が犠牲になることか。
そうなのです。穀類を「農耕」する以前、人類が24万年も原始的な生活をしてきたのは、食べることでいっぱいいっぱいだったからです。それこそ、猿が一日中食べ物を探してそして何かしら食べているように、かつての人類も「食べ物」のことだけを考えて生きてきたのです。
余計なことなど、考えている暇はありません。
「文明」は、余裕がなければ生まれません。
一方、「農耕」に支えられて、人類は爆発的に人口も増やしていきます。これも、コスパのいい穀類があってのこと。狩猟や採集中心の生活では、とても無理です。
さて。穀類に含まれる「糖質」は、人類の脳にも多大な影響を与えたと考えられます。一部の麻薬が眠っている脳の細胞を刺激するように、糖質にもそんな仕組みがあるんではないでしょうか。人類は、穀物を食べながら、どんどん、賢くなります。事実、脳の栄養分は「糖質」のみです。
が、そんな文明時代は、たかが1万年あまり。
一方、人類のスペックは24万年の間に培ってきた状態のまま。つまり、「文明」の進化が早すぎて、体の進化が追いついていない状態。
……ああ、前置きが長くなりました。ここから本題です。
「人類の体のスペックは、未だ原始時代。穀類を上手に扱うことができないでいる」ということです。
だから、「生活習慣病」だの「成人病」だの、「生活しているだけ」で、病気になってしまうという。まさに、悪魔の呪い。
ところで、人類は、どこで「穀類」と出会ったんでしょうね……。
それは、「文明」を手にいれるための、悪魔の契約だったのかもしれません。
「死に至る病」を代償に。