ぶっちゃけますと。
今、自宅は文京区で、仕事場が千代田区。
この五年間で、港区と西新宿にも住んでみました。
一時は、皇居の隣の物件にも。
取材も兼ねてはいたんですが、実際に住んでみて思うことは。
「東京、めちゃ、格差あるねー」ということです。
川崎、横浜、熱海のゲスな繁華街で育った私にとって、「東京」という住所がつくだけで羨望の眼差しでした。そんな何も知らないかっぺちゃんですから、上京してはじめに住んだのは、八王子。いや、東京都ですから。東京ですよ?
憧れの「東京」!
ですが。
「住まいはどこ?」と訊かれ、意気揚々と「八王子」と答えると、訊いた相手が微妙な表情をすることに気がつきました。
……もしかして、八王子は東京ではないのかしら?
え? じゃ、「東京」ってどこ?
「市外局番が03。これが真の東京」と誰かに言われ、
そして、私の東京すごろくがはじまるのです。
八王子を始点に、町田を経て三鷹までくるも埼玉県に飛ばされ、ついには埼玉県にマンションを買ってしまい「ああ、ここで終わりか」と諦めていたところに、ビッグチャンスが。そう、フジコブレイクです。
「今だ。今こそ、東京03を手に入れなくては!」と、新宿に部屋を借りてみました。
そのときで、47歳。
47歳にして初めて、私は東京23区に住むことができたんです。
こうなると欲が出てきて、「東京23区? いやいや、真の東京とは山手線内のことだから」という噂を聞きつけ、ついには港区は赤坂に進出。そして、皇居の隣までコマを進めた私は、端から見れば、コンプレックス丸出しで疾走する哀れなかっぺちゃんです。
で、思ったんです。
半世紀かけてようやく東京のど真ん中にたどり着いた私。
が、その近所には、公立の中学や小学校があるんです。
私が職場として借りているマンションにも、ランドセルを背負った児童たちが何人か出入りしています。
「……生まれながらにして、すごろくの〝上がり〟のような場所に住んでいるこの子たちにとって、〝上がり〟ってなんなんだろう? ……そもそも、上がりもすごろくも関係ない、生まれながらのアッパークラスなんだろうけど」
などと、しんみりと考え込んでしまいます。
「東京」と聞くだけで身悶えする地方出身と、国会議事堂や高級ホテルを見ながら公立小学校に通う真の江戸っ子。
この二者の間には、深くて暗い川がある。
その川は、多分、どんなことをしても埋まらない。
そして、私のこのコンプレックスも、どんな都心に住もうが消えることはない。
仕方ないので、これをネタにしてお金に換えるしかありません。
ああ、まさに、ゲス女の人生すごろくでございます。