今、とある実話怪談を読んでいて。
「鳩が集まるところには、霊も集まる」という一文が。
気になって「鳩、霊」で検索すると、体験談が次々と!
で、思い出しました。
四年ほど前のことです。
X市のマンションを売却し、残ったのは、山のような本とどうしても捨てられないあれこれ。
自宅に運びたくても、自宅はもうすでに荷物がぎゅうぎゅう。
これ以上は無理と、別に借りることにしたんです。
せっかく借りるんだから仕事場にもしようと思い、
眺めのいい物件を探しました
そして、見つけました。
住所は千代田区番町、皇居にもほど近い超一等地に経つ、高級マンション。
そこのワンルームが相場より安く出ていたんです。即決。
まあ、有頂天でしたね。
「憧れの番町に、(仕事部屋のワンルームとはいえ)部屋を借りられる身分になったんだ!」と。
ところが、その部屋は、内見のときから気になることがありまして。
臭い。
なんだかよく分からないのですが、
スパイシーな臭いがするんです。
体臭のようでもあり、カレーのスパイスのようでもあり。
前に社員旅行でいった東南アジアの空港を彷彿とさせるような、そんな臭い。
空気清浄機、芳香剤、消臭剤、いろいろと買ってみましたがダメ。
スパイシーな臭いが部屋に染み付いている。
その部屋にいると、私の体にまで染み付いてしまいそう。
でも、その部屋を訪れた人は誰もが「なにも臭わない」っていうんです。
なんだか、足が遠のきました。
たぶん、日本で一番の一等地、そして一番の眺めであるはずなのに、その部屋にいることが苦痛になっていったんです。
しかもです。
その部屋のバルコニーは、ちょっと油断すると鳩のフンだらけになるんです。
フンが山盛りになるんです。
鳩の鳴き声もすごい。
でも、鳩を実際に見る機会はなく。
鳩の気配がしたと思い視線をバルコニーに移しても、なにもいなんです。
残されるのは、フン。
そして、私は、掃除に明け暮れました。
フンを掃除するために通っていたようなものです。
その部屋は、一年を待たずに退去しました。
そして、思いました。
「賃貸でよかった。もし、買っていたらえらいこっちゃ」
ところで、最近、こんなニュースがありました。
日本人戦没者だと思っていたら、日本人は一人もいなかった(フィリピン人だった)というお話。
鳩の被害がひどかったマンションの近くにも
戦没者墓苑がありましたが、
調べると、フィリピンで収集された遺骨が収められているということです。
もしかして。
フィリピン人戦没者の溜まり場になっていたのかもしれません、あの部屋。
縁もゆかりもない日本に連れてこられて、
「祖国に帰りたい」と、嘆きながら彷徨っているのかも。