元祖「なめ猫」が流行った当時、よからぬ噂がありました。
猫の虐待疑惑。
今のように動物愛護が活発ではない時代でしたが、この疑惑は私が通っていた田舎の高校まで浸透しました。
それまで、呑気に「かわいい〜」などと「なめ猫」グッズを持っていた人まで罪悪感を覚えるようになったのか、いつの間にかブームは鎮火。
時同じくして、「子猫物語」疑惑というのもありまして、「噂」は加熱しました。
それがただの都市伝説だったのか、その真偽は分かりません。
ただ、今、猫さんを飼うようになって分かったこと。
(犬と違って)猫に何かを着せようというのがどれほど難しいか。
うちのマリモさんは避妊手術のときに、傷口を舐めないように念のため手術着を使用したのですが、着せるまでが大変。とても嫌がって。手術着なのでその仕様は簡単装着なはずなんですけれど、汗だくになりました。
しかも、着装後は動きが制限されるためか、歩くことすらできなくなって。
なるほど、一度服を着せると猫は静かになるようです。だから、思うような撮影もできるのかもしれません。
ですが、その様があまりに痛々しく、すぐに脱がせました。
(そもそも、抜糸の必要のない傷口も極小の手術をしてもらったので、エリザベスカラーも手術着も必要なかったのですが)
脱がせた後も、猫ハウスに丸1日引きこもり、私のことも警戒する始末。
よほどトラウマになったみたいで……。
信用を取り戻すのに一週間はかかりましたw
そのとき思いました。猫にとっては、「何かを着せること」「強要すること」「動きを封じ込めること」はかなりストレスになるんだな……と。
虐待はなかったとしても、「なめ猫」にさせられた猫さんたちはかなりのストレスだったんじゃないでしょうか。
しかも、「なめ猫」たちは、生後半年ぐらいまでの子猫のように見えます。
マリモさんが子猫のときは、一秒もじっとしていませんでした。
マリモさんが特別ではなくて、どの子猫さんもじっとしていることはないと思います。
そんな子猫たちに、撮影者が希望するようなポーズをとらせるというのですから、「虐待」と言われても仕方ないのかも。
そして、現代の「なめ猫」。動物愛護が以前より強化された今、そんな無茶な撮影はしていないと信じたいのですが、それでも、あのCMを見ると、なんとも言えない苦いものが逆流してくるのです。
これは、昭和の「なめ猫」に感じた違和感と全く同じです。
ちなみに、私はその違和感が理由で、「なめ猫」グッズには一切、手をつけませんでした。見るだけで、苦いものが逆流してしまったものです。
追記。
新装版「ふたり狂い」のカバーは、自然な姿を自然なまま撮影している(はずです)