現実を知るというのは、とても辛いことではあります。
でも、裸の王様にならないように、最近では、担当さんに「売れ行きはどうですか?」と単刀直入に質問するようにしています。
いいのか悪いのか分からず悶々とするよりも、悪ければ悪いと言ってもらったほうが気持ちを切り替えることができるし、対策も検討することができるからです。
「売り上げだけ(数字)じゃない、内容が大切だ」とおっしゃる方もいるでしょう。
もちろん、内容も大切です。
が、プロだったら、「数字」も気にしなくてはなりません。なぜなら、数字が悪ければ、次がないからです。
この業界、年々、縮小されている感がひしひしと。
ここ数日、打ち合わせという名の与太話会を立て続けに開いているのですが、版元さんも必死です。
私も必死です。
だから、質問するのです。
「売れてますか?」
正直、そんなことを聞くのはちょっと恥ずかしいです。でも、恥ずかしがっている場合ではありません。
かの文豪のヴィクトル・ユーゴーだって、「?」という短い手紙を版元に出して、「レ・ミゼラブル」の売り行きをきいています。
私の場合、バカ売れしてなくていいのです。
ベストセラーは、そうそう出るもんじゃありません。
なので目標は、「返本」の量が少ないこと。
そう、返本率が低いことが、当面の目標なのです。
たとえ重版がかからなくても、返本率が低ければ、次の仕事につながります。
いろんな話を聞きます。
1割しか売れなくて、9割返本された話など。
小説家は、刷り部数で印税をいただくので、1割しか売れなくても痛くも痒くもないのですが、そんな状態が続くと、いつか筆を折らなくてはいけなくなります。
なので、今の私の……
好きな言葉は「重版」。
嫌いな言葉は「返本」。
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あたくし、20年は生きるつもりなので、最低、あと20年は筆を折らないでね。