本日のNHKスペシャル「東京ブラックホール3」は、バブル時代でした。
当時私は二十代前半で、バブルの恩恵はまった受けていなかったのですが、テレビや雑誌で、日本中が浮かれまくっていたのはよく覚えています。
一緒になって浮かれるというより「なんか、ヤバいな……」と不安に思っていた口。
禍福は糾える縄の如し……じゃないですが、絶頂期のあとは必ず転落があるということをどこかでわかっていたからかもしれません。
それ以上に、あの雰囲気が好きではありませんでした。
私は当時の言葉でいえば「根暗」だったので、あの時代、めちゃくちゃ馬鹿にされていたんですよね。しかも、「おたく」でもあり、オカルトマニアでもあった。
「これは、人類滅亡前の最後の輝きに違いない。1999年まであと10年を切った!」という感じで、バブルの馬鹿騒ぎと、滅亡した古代ローマとを重ねていました。
実は、私のような人は多かったんです。
バブル時代は、空前の「精神世界」ブームでもあり、スピチュアルブームでもありました。
バブルの馬鹿騒ぎにどうしてもついていけない人たちが、精神的幸福を求めて、自分探しの旅に出かけたり、宗教に走ったり。
そんな中、躍進したのが「オウム真理教」です。オバブルに馴染めないアウトサイダーたちが、オウム真理教の神秘的な教えに走ったのです。「オウム真理教は」まさに、バブルが生んだ徒花でした。
私も、一歩間違っていたら、オウム真理教に走っていたかもしれません。
さて、「東京ブラックホール3」。
なにがびっくりしたって、あのアッコちゃんが登場したことです。
林真理子先生の「アッコちゃんの時代」でもおなじみの、バブルを象徴する「魔性の女子大生」。「魔性」なんていうからには、どんな妖艶な女性なのかと思ったら、(いい意味で)普通の女性でした。
やはり、人を惑わすカリスマは、普通の仮面をかぶっているものなんですね。
オウム真理教のあの教祖もまさにそうです。
あの見た目を「普通」と言っていいのかちょっと迷いますが、でも、漫画や映画なんかで登場する「カリスマ」とは程遠いビジュアルで、上野や赤羽あたりをうろついているおっさんだと言われても違和感はありません。
「普通」ほど、怖いものはないのかもしれませんね。