私は、自称「タワマン作家」でもあります。
デビュー作の「孤虫症」の他、何作かでタワマンを舞台にしました。
当時は、埼玉県のT沢というところに住んでおり、自宅の窓から駅前のタワマン群がよく見えていたのです。
「ああ、タワマンか……。いいな……」という羨望が、
「でも、きっと、タワマンには色々と問題があるに違いない」
という〝酸っぱいブドウ〟的な負け惜しみに変わり、それが原動力となってタワマン小説を書いていたところがあります。
さて。今はどうか。
「タワマン」を買うことはお勧めしない……という結論に達しています。
相変わらずの負け惜しみか?と思われるかもしれませんが、実際に住んでみてそういう結論に達したのです。
そう、「殺人鬼フジコの衝動」がヒットし、私の身にもバブルが発生したおかげで、私もタワマンに住むことができたのです!(フジコには感謝感激ヒデキ感激)
しかも、西新宿、赤坂、番町、神田、紀尾井町という、一等地のタワマンに!
5年の間に!
こんなバブルは人生で何度も起きるものじゃない(というか一回きり)、せっかくだからお金があるうちにいろんなタワマンに住んじゃえー……というわけではないのです。
引っ越しざるを得なかったのです。
どれも、タワマン由来の「特徴」が理由です。
■夜、パソコンのキーを打っていたら「うるさい!」と隣の人に壁を叩かれた。(タワマンは高層階にいくほど壁が薄いので騒音問題は避けられない)
■深夜、寝ていたらフロントから電話。「パーティーの音がうるさいと苦情が出ています。静かにしてください」と叱られ、「パーティもほどほどに」とパリピに間違えられる屈辱を味わう。(音は館内をぐるぐる巡るので、騒音源が特定できないばかりか、まったく関係ない場所が騒音源にされがち)
■バキバキという音が一日中あちこちから聞こえ、「ラップ音? 新築なのに……」と念の為「大島てる」で調べたら、マンションを建設中にスタッフが転落事故死。(新築でも、タワマンでは転落死は避けられない)
■鳥の糞害が割と深刻。
■帰宅時、停電でエレベータが停止。階段で高層階にのぼるハメになり、死にそうになった。筋肉痛がヤバかった。
■(築10年のタワマンに住んでいた時)マンション全体で水を温めてお湯にする仕組みで、あるの時間帯になるとお湯が使えないことがあり、シャワーを浴びていたら水になった。(築浅のマンションではないと思うんですが、築年数が経っているマンションでは要注意)
■台風や強風で割と揺れる。
■震度2ぐらいでも震度4ぐらいに感じる。
■トイレの水の流れが悪いときがある。(ときには逆流も)
■日差しがすごくて、結局一日中カーテン閉めっぱなし。
■深夜、「火事です、火事です!」というアナウンスが鳴り響き、慌てて非常口を開けるも、その狭さと暗さに絶望。こんな階段で下まで降りるのは心理的に無理……。(結局、このときは火事ではなく誤警報だったのですが)
特に、「火事です、火事です!」事件が、決定打になりました。
「私、タワマン無理だ……」と。
で、咄嗟に思い出したのが、「ホテルニュージャパン」の火災。そして、「タワーリングインフェルノ」というパニック映画。
タワマンで一番怖いのが、火災です。パニックになったとき、冷静にあの非常階段を降りられる自信はまったくない……。
なにより。
タワマンって、めちゃくちゃ人口密度が高いじゃないですか。
20戸ぐらいの住宅しか建てられないような場所に、何百人もの人が住んでいるわけです。
詰め込まれているのです。
喩えは悪いですが、一日中満員電車に乗っているようなものです。
なにかあったら、パニックになるのは必至。
それを想像したら、途端に恐怖に囚われて。
毎日、不安で心臓がドキドキしっぱなし。寝ている時も。(そのせいか高血圧症になってしまいましたw)
そもそも、私、人混み恐怖症、かつ、閉所恐怖症なんですよね……。
……結局、低層マンションに引っ越しました。
いざというとき、外に飛び降りても骨折で済む部屋に。
とはいえ。
タワマンは魅力も多い。なにより、その開放感。その眺め。
そして豪華な共有施設。タワマンに住んでいるという優越感。
それは、認めます。
が、タワマンにどうしても住みたいときは、「賃貸」をお勧めします。
いつでも引っ越せるように。
買うなら、投資用に。
タワマンは、永住には向かないと思います。
\ でも、あたくし、一度タワマンに住んでみたいわ /