去年、亡くなられた山本文緒さんの日記を読みました。
「無人島のふたり」です。
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山本さんの死因は、「膵臓癌」。癌の中でも極めて治療が難しく、発見されたときはすでに手遅れ……という、なんとも悲劇的な癌です。
山本さんも、「膵臓癌」と診断されたと同時に、余命半年と宣告されました。
「膵臓癌」で思い出すのは、以前、私がこっそりと閲覧していたブログ主さんのことです(Aさんと呼びます)。
私と同じくブリティッシュショートヘアーを飼われていて(他にはチワワも)、それがきっかけで閲覧をはじめました。おひとりさま、というところにもシンパシーを覚えました。歳も私と同じぐらい。
「おひとりさま」の鑑といってもいいような、本当に充実した毎日を過ごされており、そして健康的な生活をされていました。運動もし、適度に遊び、食事も完璧な健康食。私も見習わなくちゃな……と思ってはいたんですが、たびたび入院されるのが気になって。ただ、病気というよりは、より健康になるための積極的な入院という感じでした。長生きして、猫さんとワンちゃんと1日でも長く暮らしたい……と。
ところがです。あるとき、「私、癌でした」と突然の告白。
まるで、私自身がそう宣告されたかのように、全身の血が引きました。
しかも、Aさんは膵臓癌でした。完治の見込みはありません。余命はやはり半年。緩和ケアを受けながら、その日がくるまで生きる……というものでした。
ただ、Aさん、突然、膵臓癌になったわけではないのです。
そう診断される数ヶ月前から、「胃痛がひどい」と訴えていたのです。
病院に行くと、「胃炎ですね」ということで、胃薬を処方されて。
でも、薬をどんなに飲んでも、激痛はひどくなるばかり。
食事もできなくなるほどに。
それでも我慢強いAさん、いつかはよくなるだろうと、耐えていました。
で、その年の春、持病を完全に治そうと、別件で短期入院することになり、そのときに病院に胃痛のことを伝えたのです。じゃ、念の為検査を……と、ここでようやく本格的な検査が行われ、そのときに、膵臓癌であることが分かりました。
納得がいきませんでした。
胃痛を訴えたときに、どうして膵臓を疑わなかったの?と。
その期間、2ヶ月はあったかと記憶しています。
2ヶ月前に膵臓癌であることがわかったら、もしかしたら治療の可能性もあったんじゃないの?って。
いずれにしても、Aさんは、その半年後に亡くなりました。
その間、たくさんの友人に会い、最愛の猫さんとワンちゃんと遊び、その様子をブログに綴っていたのですが、本音を言うと、それを見るのがほんとうに辛かった。
ブログの更新が止まったときが、そのときであることが分かっていたから。
そして、いよいよそのときがやってきました。
Aさんのご兄弟に引き取られた猫さんとワンちゃんの画像が最後でした。
いうまでもなく、Aさんとはまったく面識はありません。メールでのやりとりもしてません。ときどき、プログにコメントをつけていたぐらいです。
そんな、縁もゆかりもない人の死に、打ちのめされた私。
半年は引きずったかな……。今も時々思い出すので、まだ引きずっているのかもしれません。
それをきっかけに、特定の人のブログや動画を見続けるのはやめようと思ったんです。
特に、ペットがいらっしゃる方のは。
ペットが死んだり、病気になったり、はたまた飼い主が亡くなったり。そんなこともあるかもしれない。
そんな様子を見続けるには、メンタル的にもたないなぁと。
私、こう見えて、かなり共感性が高いんです。小説やドラマを見ていて、登場人物に共感しまくって、それが原因で落ち込むことも多々。鬱っぽい感じになることもあり、以前、どハマりした漫画では、推しの死に、十数年間、囚われてしまいました。
自分で小説を書くようになって、そういうことも薄まってきたんですが、それでもやはり、共感性はまだ高い方。
ふいに、ネットでペットの死や行方不明の記事を目にすると、いてもたってもいられなくなる。
だから、ツイッターもやめたんですけどね。それでも、つい目にしてまうのがネットの恐ろしさ。
※ここ最近は、小田原ドラゴンさんと愛犬ちょんぴーさんのことが気になって。で。こっそりツイッターを閲覧しています。更新がないと、こっちまでハラハラしてしまいます。
あ、なんか話が逸れました。
山本文緒さんの日記の件でした。
山本さんとは面識はないのですが、ツイッターをやっていた頃は時々TLに流れてきて。遠巻きながら、こっそりと覗き見しておりました。
山本さんは長らく鬱病と闘っており、
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それを克服されて、ここ十数年は穏やかに暮らしていたようなのですが(とはいっても、戦友の死、愛猫の死など、悲しい出来事は多々)、久しぶりの長編を上梓したあとに体調を崩されました。
そう、原因は、「胃痛」。
テレビ出演などマスコミ対応が増え、それによるストレスからの「胃痛」だと、ご本人もお医者さんも判断したようですが。
違いました。膵臓癌でした。
激しい胃痛がはじまったのが、2020年の12月。膵臓癌だとようやくわかったのが、2021年の3月。
この間、約4ヶ月。
なんで、膵臓癌を疑わなかったのかな、お医者さんも。
山本さんは、以前、胆嚢を摘出していますから、疑ってもよかったんじゃないかな……。
山本さん、年に2回は人間ドックにも通ってらしてて、健康にはほんとうに気を使ってました。
なのに、なんで、ギリギリまで分からなかったのかな……。
膵臓の病は確かに分かりにくいとはいいますけど。
ここまではっきりとした自覚症状があるのに。膵臓もサインを出しているのに。
前述のAさんも、人間ドックに通うような、そんな真面目な方でした。
そんな真面目な人が胃痛を訴えてるんですから、色々と原因を探ってもよかったんじゃないの?って。
……つか、人間ドックの意味ある?
いずれにしても。
山本文緒さんの最後の日記は、悲しみよりも、生命力と優しさに溢れた一冊でした。
「生きよう」っていう気にさせてくれます。
お勧めいたします。