今年が閏年で本当によかった……。
28日しかなかったら、マジで死んでました。
今月は、レギュラーの連載に加え、イレギュラーの短編が二本、ついでに、地獄の確定申告の準備……と、まさに目が回るような日々でした。
確定申告を前半にやっつけて、並行してイレギュラーの二本を入稿して、そして本日、レギュラーの連載二本、仕上げました。間に合ってよかった……。
仕事があるのはとても幸運なことですが、でも、もうそろそろ、ちょっとトーンダウンしないといけないなと痛感しました。というのも、やる気はあっても体がいうことをきかないのです。
知らず知らずのうちに免疫が下がっていたようで、ものもらいと口唇ヘルペスに同時に罹患。一時、顔が腫れ上がってとんでもないホラーになってしまいました。
そんな私の唯一の楽しみが「ありがとう」の再放送。
先週、「ありがとう シーズン2 看護婦編」が終了し、今週からいよいよ、シーズン3の魚屋編がスタート!
そうそう、私にとって「ありがとう」といえば、この魚屋編なのです。
これはリアタイで見ていました。私が小学校三年生のときだったでしょうか。
魚屋の水前寺清子さんが本当にかっこよくて。子供心にも当たり役だなぁって。
なので、後に看護婦編を見て、ものすごい違和感を覚えたものです。
というのも、「ありがとう」シリーズは、役者はほぼ同じなのですが、シーズンごとに舞台も設定もキャラもがらりと変わっているのです。
水前寺清子さんと山岡久乃さんが親子で母子家庭という設定は変わらないのですが、この二人のキャラが微妙に違う。
魚屋編では、水前寺清子さん演じる「愛(あい)」はしっかり者で、どちらというと母親をリードして支えています。山岡久乃演じる「歌(うた)」はちょっとのんびりしていてそそっかしい母親で心底娘を頼りにしています。
一方、看護婦編では、娘の「新(あらた)」はどこか頼りないおてんば娘。失敗も多い。そんな娘を叱りつけ導いているのが、しっかり者の母親の「友(ゆう)」。文字にするとそんな違いがないように感じるのですが、実際にドラマを見ると、まったく対照的な親子なのです。
看護婦編と魚屋編、どちらが好みかと言われれば、後者ですね。
視聴率的には前者のほうが上なのですが、私は断然、後者。
看護婦編は、なんか、ものすごい社会の闇を垣間見ている気分になって、ときどき落ち込むんですよ。
その闇というのが、「格差」。
看護婦編は、「十(つなし)」病院が舞台なのですが、病院を経営する側と、雇われている側では、住んでるところも境遇も見るからに「差」があるんです。
十病院一族は、お手伝いさんもいるような豪邸に住んでいますが、勤務医や看護婦は、長屋のようなボロアパートに詰め込まれています。
看護婦編のメインストーリーは、十病院の御曹司である医師・虎之助(石坂浩二)と看護婦・新(水前寺清子)の身分違いの恋。すったもんだの挙句、二人はめでたく結婚し新は玉の輿に乗り十家に嫁ぎますが、その後が割と残酷なのです。残された母親・友(山岡久乃)の処遇が。
さて、十家の長男の嫁は京都の老舗旅館の一人娘なのですが、その実家の母親が病に倒れ要介護となってしまいまいます。その母親を介護し旅館を手伝うために度々京都に行ってしまう長男の嫁。そのせいで、一時は長男夫婦の間には亀裂が入ります。
「長男嫁の母親を介護してくれる人がいればいいんだけどなぁ。友さんみたいな人が介護してくれれば助かるのにな」
と、そこに友がいることを知ってか知らずか、そんなことを大きな声でいう十病院の院長で十家の大黒柱の父親。
そんなことを言われたら、行くしかないじゃないですか、京都に。
で、結局、友さんは京都に行くことになります。「付き添い婦」として。
この流れが、どうしても納得がいかなくて。どう解釈しても、十家にいいように利用されちゃったなぁ、犠牲になったなぁとしか。
犠牲といえば、「こころ」というラーメン屋を営んでいる相沢家の長女、希(のぞみ)。ここの家は三人きょうだいで、弟と妹はそれぞれ看護婦、薬剤師として十病院で働いています。幼い頃に両親をなくしているので、長女の希が親代わり。その希に、十家の長男が粉をかけてきます。京都にいきっぱなしの嫁に対する嫌がらせ的な意味合いで。希は本気になってしまいますが、なんだかんだと元の鞘におさまった十家の長男夫婦。希は一方的に振られます。そんな心の隙間を狙うかのように現れたのが、建築家の男。この男も曲者で、約束はしょっちゅう忘れるわ、自分の都合でどんどん物事を決めていくわで、どう考えても相手のことを考えないで行動するタイプのマイペース男。結局この男のペースに丸め込まれて希は婚約するのですが、男の実家(広島)に挨拶に行ったときその場で白無垢を着せられて突然結婚式をさせられる始末。弟も妹も不在の結婚式を強引に。しかも、ラーメン屋は売る羽目に。
「ええええ?!」と、その急展開に驚いてしまいました。
「希さんを幸せにしたい」と言いながら、希が大切に育ててきたラーメン屋も弟も妹も取り上げて、広島に嫁に来させるんですから……。
その後、希が幸せになれるとはどうしても思えない。
私、この建築家の男って、十家がはなった、工作員なんじゃないかと思うんです。
というのも、ラーメン屋「こころ」は、十家の三男の鉄之助が、まんまと買い取ってしまったからです。
まさに、「華麗なる十家」です。
十家の謀略と栄華の物語なんです。
ときどき思います。十家の嫁となった新ちゃんは、今頃どうしているんだろう……って。現在、80近いおばあちゃんになっているはず。
その後の物語を見てみたいものです。
で、「魚屋編」。「看護婦編」から一転、格差や身分違いの物語から、「ご近所トラブル」物語となります。
もちろん、水前寺清子(愛)と石坂浩二(元気)のラブストーリーがメインにはなりますが、この二人の関係性が、「看護婦編」からはがらりと変わります。
石坂浩二の一方的な片思いからはじまるんですね。水前寺清子のほうにはまったく脈がない。これがまた、おもしろくて……。
数々のご近所トラブルも、普遍的な面白さがあるんです。
私のイヤミスの原点は、もしかして、魚屋編なんでは?と思うほど。
魚屋編では、山岡久乃(歌)のラブストーリーも絡んできて、単純な親子物語ではなくなるのがまたいい。看護婦編では、娘のためになにもかも投げ出す献身的な母親でしたが、魚屋編では新たな恋と巡り合い、幸せを掴みます。これも、割と現代的な視点ですよね。
……って、めちゃ長くなりました!
それだけ「ありがとう」愛が強いってことで!
ではでは。