ドラマ視聴率歴代トップを誇る、「ありがとう」(看護婦編)。
今、TOKYO MXで放送をしていまして毎日楽しみに見ているのですが、
「しかし、ヒロインの新(あらた)ちゃん、言動が酷いな……」と思うことがしばしば。
江戸っ子ということもあり、母親の友(ゆう)さんも、てやんでー口調で荒いのですが、その娘はさらにその上を行く言葉遣いの荒さ……。
これ、今、ゴールデンタイムとかで放送したら、間違いなく「#反省会」で大炎上していると思います。
特に、本日の回の新(あらた)ちゃんは、酷かった。
虎之助との結婚が決まり、結婚準備で大忙しの新ちゃん。一方、母親の友さんも娘のために精一杯の支度をしようと、娘用に着物を作ろうとするのですが。そんな母親に向かって、「娘が結婚するっていうのになんにもしてくれないんだな!」と悪態をつきまくり。あげくは、「とっととしろよ、のろま!」などと酷い言葉を浴びせます。
このシーン、何度も見ているのですが、毎回、腹が立って仕方がない。
新ちゃんに対しての怒りが止まらない。
「この親不孝もんが!」と。
でも、脚本の平岩弓枝は、あえて、視聴者の怒りを煽っているんです。たぶん、新役の水前寺清子は、それを忠実に演じているだけ。
他にも、炎上しそうなシーンがいたるところに。
登場人物、ほぼ暴言を吐いたり我儘いったり失言したりして、ガソリンを投下しています。
でも、それを鎮火させる人が必ずいて(婦長さんとか院長先生とか年長の医師とか新の母親友さんとか)、ガソリンを投下した放火魔も、しゅんと反省します。
で、見ているほうも溜飲が下がる。
それが、このドラマの真骨頂です。
炎上させるだけさせて、華麗にそれを消し、放火魔は必ずお縄になる。。。という、勧善懲悪的な見事な手法。
それにしても、ヒロイン役の水前寺清子は、とにかく、このドラマではめまいがするほどがさつです。正直、ヒロインにはまったく向かない感じです。前述通り、口はかなり悪く、お行儀もかなり悪い。箸の持ち方もドン引きするほど、酷い。正直、長所というのが見当たりません。
(もちろん、役の上でのこと。実際の水前寺清子さんはかなり上品だと思います)
本放送当時も、「なんで、典型的な美青年の虎之助(石坂浩二)とガサツ娘が?」と、子供心にも不思議でしかたありませんでした。
そんな、とんでもヒロインを作り出した平岩弓枝もさることながら、
そんなヒロインに水前寺清子を起用した、プロデューサーの石井ふく子も凄い。
かなりのギャンブルだと思います。反対もあったでしょう。
でも、「ありがとう」シリーズは大ヒットしました。
今思えば。
「炎上」要素をこれでもか!と盛り込んだのが、大ヒットの秘訣だったのではないでしょうか。
当時の視聴者も、お茶の間でいちいちツッコミを入れながら見ていたに違いありません。クレームもあったことでしょう。
それでも、見てしまう。この中毒性の元は、「炎上要素」に他なりません。
現在のドラマは、なるべく炎上しないように作っているように思われます。
もしかしたら、それが、ドラマの視聴率を下げてしまっているのかもしれません。
「ありがとう」並みの大ヒットを狙うなら、「大炎上上等」の覚悟で、捨て身でドラマを作る他ないのではないか。
そんなことを考えながら、「ありがとう」を見ています。
いやはや、しかし。
半世紀以上前のドラマに、「このヒロイン、信じられない!」と真剣に興奮してしまうのだから、やっぱり「ありがとう」は名作です。