人はなぜ生きるのか。
それは、死ぬためです。
西村賢太さんの急逝と、新型コロナ感染で、「死」の足音をひしひしと感じています。
これが10年前なら、「死を考えるのはまだまだ早い」と思うのでしょうが、なにしろ、2年後には還暦を迎える私。日本の平均寿命まで生きるとして、あと約30年。
この歳になると、30年がいかに「あっというま」なのかも分かっています。
しかも、30年を待たずに、明日死ぬかもしれない。
今のうちに、色々と準備をしておかなくちゃな……と。なにしろ、おひとり様だし。
一番の懸念は、猫姉妹。
私が死んだあと、猫姉妹を誰に託すか。
人間関係の断捨離を行ってずいぶん経ちますので、猫を託すほどの親しい知人とか友人とかが思い当たらない。
あとは、著作権の問題もある。
自宅の処分とか、遺品の整理とかも。
仮に、自宅で孤独死したとしても、そのままでは「行旅死亡人」扱いされて、無縁仏になってしまう恐れも。せっかくお墓も買ったのに……。
自由気ままな「おひとり様」生活ではありますが、死後のことを考えると、「おひとり様」の場合、いろんな問題に直面します。
「どうしようかな……」とずいぶんと前から漠然と考えていたのですが、西村賢太さんの死が私の背中を押しました。
「遺言書を作ろう!」
私ひとりで作成すると、またグダグダと先送りしそうなので、弁護士さんに依頼することにしました。弁護士さんを執行人にし、弁護士さんのアドバイスの元、遺言書の作成にとりかかりました。
懸念の猫姉妹のことと、著作権のこともなんとかクリア。
著作権に関しては、私が死んだあとはフリーにするか、そのときに契約している版元に譲ろうと思ったのですが、それだと法的に色々と面倒なようなので(版元ごとに契約書を結ばなくてはならないらしい)、所属している日本文藝家協会に一括で譲ることにしました。
その証となる「死因贈与契約書」も結びました。
あとは、エンディングノート。
これが、まあ、大変で……。
母が亡くなるちょっと前に、エンディングノートを渡したんですね。
「もしものときのために、これを書いておいて。でなきゃ、口座とか保険とかカードとかの解約がいろいろと面倒だから」と。
でも、結局、母は1ページだけ書き込んだだけで、挫折してしまったようです。
「お母さん! なんてこと!」
と、ちょっとイラっとしたのですが、いざ自分が書いてみて、思いました。
そりゃ、挫折するわ……。
市販のエンディグノートって、とにかく量が多くて、細々していて、複雑。それでいて、自分には関係ない項目もたくさんある。
もっと、簡素化できないものか?と、ネットでフリーのテンプレート拾ってきて、自己流に魔改造。それでも、28枚に及ぶ大作になりました!
これ、年老いたらちょっと無理でしょう……。
口座とか保険とかカードとか大量にもっている人はそれこそかなりの作業になると思います。
少なくとも、還暦すぎたら、口座とか保険とかカードは、それぞれ絞ったほうがいいと思います。
いずれにしても。
ようやく完成しました。
遺言書とエンデイングノート!
(長編小説一作、書き上げたような疲労感(;´д`))
それにしてもです。
死ぬって、生まれるより色々と面倒ですね……。