真梨幸子mariyukiko’s blog

【公式】真梨幸子(&マリモナミ)の最新情報

ぶっちゃけ話

ネットサーフィンしていたら、こんなブログを発掘しました。

kayashi.blog.ss-blog.jp

 

14年前の記事なのですが、「リストラなう」という暴露本に触れています。

リストラなう」、懐かしいですね……。

某中堅出版社に勤める40代の社員(営業職)が、リストラされるまでの経緯を赤裸々に綴ったものです。

まあ、大騒ぎでしたよ。

なにしろ、年収から退職金まで、あけっぴろげに公開しちゃったものですから。

前述のブログを引用してみますと、(固有名詞伏せ字にしておきます)

↓↓

ただ、「リストラなう」によると、年収などを公開(暴露)したことに対し、同じ●●社に勤める者が批判していたらしい。

なぜ、年収を公開することがいけないのだろう?
ま、日本人はそういったものを公表したがらないものなのかもしれないけれど。

穿った見方をすれば、これだけの高給を受け取れる利益を出すような仕事をしていないから、それが知られると後ろめたいから、年収の公開に異を唱えているのではないか?と思う。
そして、パイを公平に分け合っていない心苦しさもあるのかもしれない。

これだけの高給を得ていることを「当然の対価だ」「それだけの仕事をしている」「正当な報酬だ」と思っているのであれば、堂々としていていいはずだ。年収を公開されても良いはずである。なぜ隠す必要があるのか?

ま、一般人から見れば・・・出版不況といわれながら、すでに赤字がずっと続いているらしい会社なのに、45歳で年収1100万円、そして退職金5200万円という数字に「?」がついてしまう。

出版社は広告収入があるとはいえ・・・

出版業界に関わっているどこかが、そして誰かが不当に搾取されたり、誰かの犠牲の上で成り立っている数字ではないかという黒い見方をしてしまう。
だから、社員の年収が公開されたことに対し、批判が出たのでは?と。

↑↑

 

「リストラなう」騒動があった14年前といえば、私が超貧乏だったときです。

年収が200万円いくかどうか。

そんなときに、1000万円超えの年収の話をされて、顎がはずれたものでした。

「ああ、やはり、出版会社の社員さんは殿上人なんだな……。わたしみたいな貧乏人が対等に接しちゃダメなんだなぁ」と。

言ってみれば、版元は「クライアント」。作家は「下請け業者」。

身分が違いすぎます。

 

前述のブログでも、

 

大手出版社は高給とりというのは知っていたけれど、現実に数字として見せられ、とくに同じ業界で働く人は愕然とした人もけっこういたようだ。

そういえば、テレビ局と、その下請けの製作会社も格差がすごいというし。

パイを公平に分け合うことをせず、派遣やフリーには仕事に見合った分の報酬を渡さず、一部分の者だけが高い報酬を得ているとしたら・・・
このブログ「リストラなう」のコメントにも書かれてあったけど・・・パイを公平に分け合っていないとなると、一旦、全部壊れてしまったほうがいいのでは、とも思ったりした。

 

と言及しています。さらに、

 

また、「リストラなう」のコメント欄に書かれていたことだが、●●社で同じ仕事をさせられた派遣は300万にも届かないという・・・

 

このブログを書かれた方はどうやら漫画家さんのようで、出版業界の歪な構造にあからさまに怒りを覚えてらっしゃいます。

私なんかは、あまりに格差がありすぎて、怒りなんて覚えている場合ではありませんでした。

ただ。新人の頃、ある版元の編集さんに言われた言葉を思い出しました。

「作家と出版会社がなにかトラブルが起きたら、出版会社は間違いなく、社員を守る。作家は守らない。どんなに大物でも」

冗談めかして言っていましたが、つまり、

「だから、トラブルなんかは起こさないほうがいいよ」

という忠告(脅し)だったのかもしれません。

ここでいう〝社員〟とは、正社員のことで、契約や派遣やフリーランス社員は含みません。

(ちなみに、それを言った版元さんとは今は仕事はしていませんが)

 

さて、ここで「セクシー田中さん」問題です。

この事件がここまでこじれて最悪の悲劇を生んだのは、まさに、「社員は守るけど作家(下請け)は守らない」という業界の構図が原因だと思うのです。

日テレ小学館もどこか冷たいのは、「(正)社員」を守るのを大前提にしているからだと思います。

でもね。

下請けがあっての、大企業じゃないですか。

社員を守るのもいいですが、下請けも守らなければ、いったい、誰が生産してくれるのでしょう?

テレビ局も出版社も、実際に現場で生産しているのは、ほとんどが「下請け」です。

社員の半分以下の年収でも、がむしゃらに働いている「下請け」なんです。

この業界に限らず、日本の業界の大半は、そのことを忘れている。

使い捨てできる便利な「コマ」ぐらいに考えている。

それが、問題なんです。

日本をここまで停滞させ凋落させた元凶なんです。

利益は、より生産に貢献した人に分配しなくてはいけません。

せめて、公平に分け与えなくてはいけません。

トラブルが起きたら、下請けも守らなきゃいけないんです。

 

私は、ラッキーなことに、今は14年前から年収がぐーんと増えました。

だからといって、下請けという立場は変わりません。来年の年収はさらに減るかもしれません。10年後は、ホームレスかもしれません。

そんな不安定な下請け稼業。だから、なるべくトラブルは起こさないように努めています。なにかあっても、たぶん、泣き寝入りしてまうでしょう。

そういう作家さんは多いと思います。

それでいいんでしょうか?

社員並みに守れとはもちろん言いませんが、せめて、一緒に作品を生み出している仲間なんだ……という意識で接していただければ幸いです。