天人五衰と洗濯乾燥機。(長文です)

春先にひいた風邪の後遺症が長引き、鼻詰まりと咳に苦しんでいましたが、8月になってようやく寛解。一安心していたところ、また、風邪の症状が……。

いやはや。

風邪を滅多に引かないことが数少ない取り柄だったのですが、コロナ禍を経て、どうも免疫がおかしくなっている気がします。

とはいえ、今度の風邪は軽いので、家で仕事をする分には問題なさそうです。

 

さて。今日は洗濯機の話。

潔癖症の私は、おひとり様のくせして、やたらと洗濯機を回します。そのせいで、洗濯機を買い替えるタイミングも、大家族並み。洗濯機の寿命は生物と同じで、心臓の鼓動(回転数)で決まっていますので、(家庭用)洗濯乾燥機の場合、1日一回使用したとして、平均寿命は7年から10年なんだそう。私の場合、平均して1日2回(夏場は3回回すことも)は使用していますので、平均寿命10年の半分として、だいたい5年で寿命がきてしまいます。

縦型洗濯機を使用していたときも、10年もったものはなかった記憶です。

一度、脱水前に洗濯機が壊れ、大変難儀したことがあります。予兆はあったのですが、騙し騙し使い続け、いよいよ洗濯機が抗議するように、最悪のタイミングで殉死してしまいました。その経験から、予兆があったら、壊れる前に買い替えるようにしています。

 

18年ほど前でしょうか。洗濯機の寿命を感じ取った私は、近所の家電量販店に洗濯機を買いに行きました。そのときはじめて見た、ドラム式。いやー、一瞬で魅了されましたね。なにより見た目がイケてるし、洗濯から乾燥までしてくれるという、まさに、夢の家電!

常日頃、洗濯物を干すのが億劫で、「乾燥機があれば……」と夢想しておりました。乾燥機単体は、割と大昔から存在し(ガスの乾燥機は有名ですね)、ちょっと裕福なお宅に行くと当たり前のようにあったりして、「私も、いつか、乾燥機を持てるようなランクの人間になりたい」などと野望を抱いておりました。世間では、裕福さの目安は高級車だったりハイブランドのバッグだったりしますが、私の場合は、乾燥機だったのです! それだけ、洗濯物を干すのが地味に苦痛だったんですよね。当時住んでいた地域がダイオキシン問題で揺れていた土地だったこともあり、外に洗濯物を干すのも躊躇われた。

そんなときに、出会った、ドラム式。たぶん、Panasonicだったと思います。(日本ではじめてドラム式を発売したメーカー)。展示品を、30分は眺めていたと思います。スタートボタンを押したら、洗濯から乾燥までしてくれる生活を妄想しながら。

でも、その価格。当時でも40万円近くしていました。とても、無理。といはいえ、一度、それを妄想してしまったからには、もう元に戻れません。どうしても、洗濯乾燥機がほしい! と、店内を物色していたら、縦型の洗濯機で乾燥モードがついているものがありました。大手家電メーカーのT社が出している製品です。値段も、10万円以下。それからさらに値引きして7万円台になるという。これなら手届く。予算は5万円でしたが、それにプラス二万円ちょっとで、夢の生活が手に入るなら!と、清水の舞台から飛び降りるつもりで、購入を決めたのでした。

搬入は翌日。夢心地で、洗濯ものを洗濯機に放り込みました。そして、スタート! そのときで、お昼過ぎ。

……が、3時間が過ぎても、5時間が過ぎても、洗濯機は止まらない。洗濯機が置いてある洗面所は、しだいにサウナ状態に。真冬だったのですが、汗が出てきそうなほど。言うまでもなく、洗濯機から出ている熱気のせいです。

そして、深夜零時頃。ようやく、洗濯機が止まりました。

その時間、12時間! いや、でも、普通に干す場合は、乾くまでもっと時間がかかる場合もあるし、こういうものなのかな……と、蓋をあけてびっくり。静電気がもわっと立ち込めて、全身がビリビリ状態。しかも! 洗濯物が、入れたときよりも一回り、いや、二回りは小さくなっている! 恐る恐るタオルを取り出してみると、みっちりと目の詰まったパリパリの雑巾もどきが! なんと、タオルが、縮みまくって、三分の一ほどの代物になってしまったのです! もはや、乾燥させたカンピョウ! 下着も! 部屋着も! もう、すべてが、縮小の世界に紛れ込んだように縮んでしまいました……。

私の、乾燥機の憧れが見事に打ち砕かれた瞬間です。

以降、その洗濯機は洗濯モードしか使用していません。だったら、はじめから、5万円以内のものを買えばよかったよ……。

 

あ。なんか、前振りが長くなりましたね。

ここからが、メインです。

散々な洗濯乾燥機デビューを果たしたせいで、以降、乾燥モードには拘らなくなった私ですが、ちょっと稼げるようになってからは、またもやドラム式の憧れがむくむくと。やはり、洗濯物を干すのがどうしても億劫だったんです。しかも、生乾きのニオイとかも気になるし。

で、思い切って、ドラム式を買うことにしました! 2012年のことです。

私の初ドラム式は、H社製です。「風アイロン」という機能が気に入ったからです。なんでも、シワにならずにふんわりと乾燥するという。

とはいえ、あの経験があるので、ちょっと半信半疑でした。また、縮んだらどうしよう……と。

ところが。スタートボタンを押して約4時間で終了。これには感動しましたね。早って。半日かかるのは覚悟していましたから。さらなる感動は、蓋を開けたときです。洗濯物が、モコモコのふわふわ!!

きゃー、これよ、これ。私が夢見ていたものは!

それからしばらくは、快適な生活が続いていたのですが。半年ぐらいから、ちょっと不安な感じになりました。終了時間がどんどん遅くなっていくのです。それに比例して、ドラム式がある洗面所がどんどん熱くなる。

「こういうものなんだろうか?」と思いながらも使用を続けていたのですが、1年後には、6時間、いや8時間かかるように。と、そのタイミングで、ドラム式がついている部屋に引っ越すことになり、H社のドラム式とはお別れするのですが。

次のドラム式は、部屋につていたP社。ちょっと小ぶりなやつです。お手入れするフィルターも少なくて、これは便利だと思いました。が、一度に洗濯乾燥できる量が少なかったので、こまめに洗濯する必要があり、多いときで、1日3回も回す羽目に。それがいけなかったのか、このドラム式も1年を迎える頃に、故障しました。(水浸しの状態で止まってしまったので、そのあとが地獄でした。修理が来るのは1週間後だというし……)

思いました。

「ドラム式って、便利だけど、壊れるのは突然だな」と。

で、そのとき、はじめて、ドラム式には「ヒーター式」と「ポンプヒート式」があることを知ります。修理スタッフの人が教えてくれたんです。

それまで私が使用してきたのは、どれも「ヒーター式」。ヒーター式というのは、文字通り、熱を出して乾かします。ドライヤーのようなものです。だから、洗面所がサウナのようになっちゃうんです。そして、時間がかかる。

ポンプヒート式は、エアコンと同じ原理で、低温度で乾かします。

修理スタッフさんいわく、「長い目で見れば、ポンプヒート式のほうがいいですよ。なにより、乾くのが早いし。電気代もヒーター式に比べれば安く済む」。

なるほど、なるほど。次にドラム式を買うことがあれば、絶対にポンプヒート式にしよう!と。

そのタイミングは2年後に訪れました。今のところに引っ越しが決まったからです。

今度こそ、理想的なドラム式を!と、かなり勉強して家電量販店に向かいました。買うのは決まってました。Panasonic製です。そうです。私がはじめて目にしたドラム式。あのPanasonic製です!

目当てのシリーズは、4種類あったかな。どれも基本スペックは同じなんだけど、機能がちょいちょい違う。

この場合、どれを選べばいいか。かつて、家電メーカーの取説ライターをやっていたので、こういうことはだいたい見当がつく。一番高額な最上位機種の次のランクが狙い目。

最上位機種のみついている機能は、たいがい、あまり使わないマニアックな機能。だからといって、最下位機種は、必要な機能まで削っている場合がある。なので、その真ん中のランクが狙い目。

ということで、上から二番目に高い機種を購入しました。

これが、大正解!

私の洗濯機人生の中でも、一番の当たりでした!

終了までが早い(6キロで約2時間半)! ふわふわモコモコ! お手入れも簡単!

が、5年目あたりから、洗濯物に小さなゴミ?がつくようになり、場合によってはちょっと湿った感じに。これは、内部にかなり埃が溜まっているのだろうな……と。なにしろ、うちには2匹のニャンが……。

メンテも考えましたが、時期的にコロナ禍。メンテを頼んでも、いつ来てくれるかわかりません。こんな状態で完全に壊れたらシャレにならないので、早めに買い替えることにしました。

次も、もちろん、Panasonicのドラム式!

洗濯機という、昔からある家電ってそんなに進化のしようがないと思われがちですが、そんなことはありません。たった5年で、めちゃ進化してました!

なんと、洗剤の自動投入機能がついているのです。これが、地味に便利でして……。一度、この便利さが当たり前になると、もう元の生活には戻れない。。。

 

それから4年。

そう。つい最近のことです。

洗濯物にゴミがつくより、ドラムの端から謎のゴムが脱腸するという現象も起こり、そろそろメンテをしてもらう時期かな……と思っていたのです。

そんなとき。乾燥フィルター口を歯ブラシで掃除していたら、なんと、その歯ブラシを、躯体の中に落としてしまうという事故が!

実は、この事故、とても多いんだそうです。だから、メーカーも、「歯ブラシでは絶対に掃除しないように」と警告をだし、専用の掃除ブラシまで販売しているのですが、それを取り寄せるのが面倒で、歯ブラシで代用していたのです。危ない、危ない、と知りながらも、大丈夫、大丈夫と。……そして、とうとう、やらかしてしまった。。。。このまま使用したら、ほぼ間違いなく、故障する!

こうなると、もう分解して歯ブラシを取り出すしかない。自分でやってみようかな?

ネットで分解のしかたを検索してみましたが、それはとつてもなくハードルの高いものでした。私には絶対に無理でした。

修理を頼もうにも、お盆休みもあって、1週間以上はかかると。

この酷暑に、1週間、洗濯ができないのは地獄。

もう、こうなったら、買い替えるしかない!

まだ4年しか使ってないけど。でも、私の使用頻度では(2匹の猫の毛も相当なものだし)、5〜6年が寿命だから、まあ、タイミング的にはそう悪くない、そう言い聞かせて。

家電量販店に行こうとも思いましたが、この暑さで行く気にもなれず、ネットで購入できるところを調べることに。

次もやっぱりPanasonicがいいと思い検索してみると、あれ? もしかして、フルモデルチェンジしている? そうなんです。2021年にフルモデルチェンジをしていて、見た目が別物のようにかなりオシャレにスタイリッシュなっているんですよ! 見た目だけではなく、中身もまるっと改良されているらしい。なんと、埃が極力でないような作りになっているんですって。これはもう、買うしかない!と価格コムを見てみると、なんと、どのショップも同じ価格。

はて? 調べると、Panasonicは「指定価格制度」というものを導入しているらしく、価格はメーカーがいちいち指定し、一円たりとも、ショップ側で値引きができないようになっているんですって。へー、今は、こういうことになっているんだ。ちょっと前は、オープン価格が当たり前だったのに。

価格がどのショップも同じとなれば、どこで差別化するのか。それは、運搬費や設置料などの値段ですね。これを無料化して、価格競争をするしかないんです。

でも、そのときの私の優先順位は、なる早。最速で、届けてもらえること。

が、しかし。この時期、秋の新商品がでるタイミングで、現行製品は品薄。。。。取り寄せで1週間以上かかるとか。

困ったな、今更他のメーカーにはしたくないし、、、とあれこれ調べること1時間。ようやく、在庫ありのショップをみつけました。翌日搬入、運搬料、設置料、リサイクル料無料! 即決でしたね。

しかも、お値段も、発売当初の価格から8万円ほど安くなっている。ショップ側で値引きはできないけれど、メーカー側が、つど、価格を下げているようです。

っていうか、めちゃくちゃいいタイミングでの買い替えだったんじゃないかしら?

 

ということで、今。

新しいドラム式を回しています。

一番の驚きは、終了後に発生する埃が本当に少ない!

前のやつは、初日からドラム口のゴムパッキンにもっさりと埃が溜まっていたものですが、今回のはあきらかに少ないのです。いや、劇的に少ない!

いやー、これは参った! Panasonicさん、ますます便利にしてくれましたね!

快適です。

 

でも、ふと、こんな言葉が浮かんできました。

天人五衰

  1. 衣裳垢膩(えしょうこうじ):衣服(羽衣)が埃と垢で汚れて油染みる
  2. 頭上華萎(ずじょうかい):頭上の華鬘が萎える
  3. 身体臭穢(しんたいしゅうわい):身体が汚れて臭い出す
  4. 腋下汗出(えきげかんしゅつ):腋の下から汗が流れ出る
  5. 不楽本座(ふらくほんざ):自分の席に戻るのを嫌がり楽しみが味わえなくなる

 

これは、仏典の中に出てく教えで、天界に住む天人が死を迎えるときに現れる兆しのこと。この兆しが出ると、天人は、地獄の16倍以上の苦悩を味わうんだとか。

天人は普段はとても便利で快適な暮らしをしています。ですから、衣服が汚れたり、体臭がしたり、脇汗をかいたりするだけで、地獄以上の苦しみを味わうというのです。

これって、まさに、便利すぎる日本に生きている私たちのことじゃないかしら?と思ったんです。

洗濯機が壊れたぐらいで右往左往して、地獄のような不便さを感じてしまう。

よくよく考えたら、洗濯機がなくても、乾燥できなくても、人は死にはしない。

でも、家電はますます進化していき、私たちはますます、その便利さに依存して絡め取られてしまう。

 

これから先。災害や有事が起こるかもしれない。私自身の経済力が衰えてくるかもしれない。

そのとき、一度味わった便利さをすぱっと捨てることができるでしょうか? それとも、捨てることができずに、地獄の苦しみを味わってしまうでしょうか?

 

ドラム式の故障で、そんなことを思ったのでした。

 

長文、失礼しました。