久しぶりに、上野の東京博物館に。
お目当ては、「ポンペイ」展。
ポンペイとは、簡単にいえば「西暦79年に火山の噴火で壊滅した都市(住民は一万人)」です。
どこにあるかといえば、イタリアのナポリあたり。
(こうやって見ると、噴火したヴェスヴィオ山とポンペイは結構離れていますが、実際の距離的は10キロだそうです。東京駅と中野駅ぐらい)
ポンペイの街は想像以上に発展していて、豊かで、暮らしぶりはまるで近代的。
街には広告が溢れ、
湯沸かし器まである。
食事も豪華。
医療器具に至っては、現在のものだと言われても信じてしまうほど。
驚いたのが、膣鏡なる精巧な器具まであったこと。
これ、たぶん、堕胎のときに使用したんではないでしょうか。
というのも。ポンペイは、「快楽の都市」という呼び名もあるほど、風俗産業が盛んだったそうです。男女の交わりを表す絵もたくさん残されています。
娼婦もたんさくいたようです。
堕胎手術も数多く行われていたと想像されます。
ポンペイは、芸術的センスにも溢れています。
見てください、このモザイク画! シュールでアバンギャルドでモダン。
現在の作家の作品と言われても、信じちゃいます!
正統派の像も、すばらしい!
このディテール! ドレスのヒダの美しいこと!
ちなみに、西暦79年といえば、日本は弥生時代。
作られていたのは、ハニワです。
(これはこれで、愛嬌があっていいのですが)
ポンペイでは、こう!
足の指から手の指先まで、リアルそのものです。
しつこいようですが、我が国のハニワはこうです!
抽象が過ぎます!
今回、西洋(ローマ)文明の進化の凄まじさにとにかく圧倒されました!
同じ時代に生きていながら、この差はあまりにも……。大人と子供以上の差がある。
(繰り返しますが、ハニワの抽象芸術も素晴らしいです)
さてさて。
楽園といってもいいほど、文明も芸術も快楽も利器も爆発していたポンペイ。
が、その文明は、一瞬にして火山灰と火砕流に飲み込まれてしまいました。
自然の前では、今も昔も無力な人類。
ポンペイは、灰の中で長い眠りにつきます。
そして、19世紀。本格的な発掘がはじまります。
そのとき、発掘隊のリーダーは気がつきます。火山灰層に不思議な穴がたくさんある。なんだろう?
え、もしかして、これは……!
そう、それは、火山灰に飲み込まれた人たちの姿だったのです。
肉体は朽ちてしまいましたが、その姿が、鋳型のように残されたのです。
その穴に石膏を流し込み、当時のポンペイ市民を復元したのがこちら。
痛々しいですね……
どうやら、若い娘さんのようです。
そして、下半身がまるだしです。
もしかしたら、娼館で働く遊女だったのかもしれません。
その最期は、相当に恐ろしく悪魔的だと聞いています。
火砕流の熱で、あっというまに焼かれてしまったんだそうです。
火山列島の日本も、人ごとではありません。
いつか必ず、そのときはやってくる。
どう生き延びるか。
そのヒントは、ポンペイが教えてくれます。
ヴェスヴィオ山大噴火の17年前、大きな地震があったそうです。
それが、大噴火の序章でした。
11年前の東日本大震災も、もしかしたら破局噴火の序章なのかもしれません。
だとしたら、ここ数年が正念場なのかもしれません。
そんなことを思いながら、博物館を後にしました。
追記。
実は、日本にもポイペイがあるんです。
1783年の浅間山大噴火で、埋没してしまった村があります。
避難所となっている観音堂に逃げ込む前に火砕流の飲み込まれた二人の女性の遺骨が発掘されています。ふたりは親子で、娘が年老いた母親をおぶっていたとのこと。
高校時代、浅間山麓に研修旅行に行ったのですが、その現場にも立ち寄りました。
そのとき体験した、なんともいえない悪寒と幻影。
泣きじゃくる私。
いきなり私の様子がおかしくなったものだから、担任も級友たちも大慌て。
後にも先にも、あんな体験は初めてでした。
追記2。
今回のポンペイ展で、一番ウケてしまったのが、こちら。
なんか偉い人の像なのですが、頭とイチモツだけw
まあ、確かに、大切なものではあるますが……