国連の女性差別撤廃委員会で日本の女性政策を対面で審査する会合がスイス・ジュネーブで8年ぶりに開催され、男系男子による皇位継承のあり方も論点の一つになった。NGOとして参加した「皇統を守る国民連合の会」会長の葛城奈海氏は「女性差別」と批判されるものではないと訴え、日本政府の代表団も皇室のあり方を同委で取り上げることは不適切と反論した。
葛城氏は今月14日の5カ国のNGO関係者が出席する会合でスピーチし、「天皇は祭祀(さいし)王だ。ローマ教皇やイスラムの聖職者、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王はみな男性なのに、国連はこれを女性差別だとはいわない。なぜ日本にだけそのように言うのか」と疑問視した。 その上で、「世界にはさまざまな民族や信仰があり、それぞれ尊重されるべきだ。内政干渉すべきではない」と強調した。
このスピーチね、ちょっと危険だな……と思ったんです。
なぜかというと、天皇をローマ教皇などの宗教指導者と同一に扱っている。
これは、我が国の憲法の定めである、
20条は国家にいっさいの宗教的活動や宗教団体への特権付与を禁じ,89条は宗教団体への公金支出を認めない(政教分離)
を端から無視しているからです。
天皇、つまり皇室の存続が税金で賄われているかぎり、死んでも「天皇は祭祀(さいし)王」だと言ってはいけないのです。
でなければ、「それじゃ、違憲じゃないか!」と突っ込まれて、天皇制そのものが破壊される恐れがあるからです。
なのに、一部の極端な保守は、そういう基本的な点を毎回失念してしまっている。
確かに、
ローマ教皇やイスラムの聖職者、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王はみな男性
ですが、日本の場合、女性が天皇に即位した歴史もあり、なんならその開祖は天照大神という女神。男性のみに許された地位ではないのです。
(日本の神道は、どちらかというと女性的な宗教ですしね)
そんな簡単な歴史すら、一部の極端な保守は忘れている。
男系男子に限る……と言い出したのは、明治以降。
男尊女卑の文化を欧米から輸入してしまったのが理由でしょう。
(当時の欧米は、日本以上に男尊女卑でした)
男尊女卑が激しかった薩摩が実権を握ったのも理由のひとつかもしれません。
むしろ、一部の極端な保守たちのせいで、天皇というシステムじたいがなくなる恐れがあるんです。もしかしたら、彼らはそれを望んでいるんでしょうか?
伝統をこれから先も永遠に守り続けたいのなら、時代に沿って柔軟であるべきです。
そもそも、天皇は日本国民の象徴なのであり、その象徴にふさわしい方が即位すべきでしょう。幼き頃からご自身の運命を受け入れて覚悟されているような方。そういう教育を受けている方。個人的には、天皇となられる方に、学歴や博士号などといった俗っぽい飾りはいらないと思っています。
必要なのは、血筋、資質、覚悟、人格。そして、なにより、オーラだと思います。
性別は関係ありません。
なんてことを考えていたところ、
「男系男子」が皇位を継承することを定める皇室典範についても、最終見解は「委員会の権限の範囲外であるとする締約国の立場に留意する」としつつ、「男系の男子のみの皇位継承を認めることは、条約の目的や趣旨に反すると考える」と指摘。「皇位継承における男女平等を保障するため」、他国の事例を参照しながら改正するよう勧告した。政府側は17日の審査で、「皇位継承のあり方は国家の基本に関わる事項であり、女性差別撤廃条約に照らし、取り上げることは適当でない」と反論していた。
いよいよ、きたか……という感じです。
国連から言われたから変える……というのでなく、自らの意思で変更するのがベストなのですがね、、、、、
いずれにしても、女性天皇容認の立憲民主党が大躍進したこのタイミングでこれが出たというのは、なにやら、時代の大きなうねりの兆しを感じます。