グルーピーという言葉がありまして。
もしかして、もう死語なのかな?
私が中高時代は、「あの子、×××(バンド名)のピー(グルーピー)なんだって」「うっそー、私もピーになりたい!」なんていう会話をよく耳にしたものです。
グルーピーというのは、ロックバンドなんかの追っかけで、おもに性的な奉仕もする女の子たちのことです。
グルーピーになるのは一種のステータスで、ファッションでもありました。
最初はロックバンドなんかに限定されていたグルーピーでしたが、次第にいろんな方面に派生し、ついには、世を騒がせた犯罪人に熱狂するグルーピー(プリズングルーピー)まで。
さて。今問題のこちらの話題です。
崎邦正が街行く女性をビデオに撮りその動画を…松本人志”アテンド後輩芸人”の行き過ぎたナンパ術
もともとは、ロックバンドの追っかけの代名詞だった「グルーピー」は、時代もくだると、その対象は多岐にわたりました。
その中でも多くのグルーピーを擁していたのが、DTさんです。
お笑い界には疎い私でも、「後輩にナンパさせて女性をお持ち帰り」という武勇伝は存じておりました。トーク番組なんかでも、その様子をネタにすることも多かったと思います。
DTさんも若かりし頃は、それが「性的強要」とか「性被害」に結びつくことはなく、むしろ、一夜をともにした女性たちは誇りにすら感じていたはずです。
だから、問題にはならなかった。
が、時代は進み。
DTさんたちも、もう還暦です(問題となる行為が9年前だとしても当時50歳)。
後輩が連れてきた若い女性にとっては、おじいちゃんです。
もしかして、この年の差が、今の問題に発展したのかなぁとも。
芸能界きってのモテ男でナンパ師だったMさんは、若い気持ちのまま女性と一夜を共にしたのかもしれません。今まで通り。女性のほうも抱かれて嬉しいと思っているに違いないと。だから、悪意はなかったのだろうと思われます。問題になるとも思っていなかった。
でも、老いは残酷です。
女性のほうは、あきらかに、Mさんを老人としてとらえいて、拒否反応も示しています。
この認識の差が、今回の騒動につながったのだろうなぁと。
なんか、「ベニスに死す」を思い出したりして。
若く瑞々しい美少年に惹かれて、若造りをして少年をストーキングする老醜ただようアッシェンバッハ。
アッシェンバッハが追いかけていたのは、「若さ」そのものだったのかもしれません。アッシェンバッハが死んで物語は終わりますが、あのまま生きていたらどんな修羅場になっていたのか、今もときどき妄想します。
あの無敵なMさんにも、そういう時がきたのかもしれません。
Mさんとほぼ同年代の私は、その時の流れの残酷さにしみじみとしてしまいます。
そう、私たちは、もう歳をとったのです。
それは認めなくてはなりません。
認めた上で、新たなる「ステップ」に踏み出す他ありません。
還暦は、赤ちゃんに戻るという意味でもあります。
そう、一からやり直す時期なのです。
ゼロからではありません。
私たちは、60年生きてきて、いろんなことを学び、経験してきました。それだけは、若いものには負けていません。その年輪を武器に、一から人生を構築する。
それが還暦なのだと思うのです。