真梨幸子mariyukiko’s blog

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グルーピーとベニスに死す

ルーピーという言葉がありまして。

もしかして、もう死語なのかな?

私が中高時代は、「あの子、×××(バンド名)のピー(グルーピー)なんだって」「うっそー、私もピーになりたい!」なんていう会話をよく耳にしたものです。

ルーピーというのは、ロックバンドなんかの追っかけで、おもに性的な奉仕もする女の子たちのことです。

ルーピーになるのは一種のステータスで、ファッションでもありました。

最初はロックバンドなんかに限定されていたグルーピーでしたが、次第にいろんな方面に派生し、ついには、世を騒がせた犯罪人に熱狂するグルーピープリズングルーピー)まで。

 

さて。今問題のこちらの話題です。

news.yahoo.co.jp

 

崎邦正が街行く女性をビデオに撮りその動画を松本人志アテンド後輩芸人の行き過ぎたナンパ術

 

もともとは、ロックバンドの追っかけの代名詞だった「グルーピー」は、時代もくだると、その対象は多岐にわたりました。

漫才ブーム以降、芸人さんたちにも多くのグルーピーが。

その中でも多くのグルーピーを擁していたのが、DTさんです。

お笑い界には疎い私でも、「後輩にナンパさせて女性をお持ち帰り」という武勇伝は存じておりました。トーク番組なんかでも、その様子をネタにすることも多かったと思います。

DTさんも若かりし頃は、それが「性的強要」とか「性被害」に結びつくことはなく、むしろ、一夜をともにした女性たちは誇りにすら感じていたはずです。

だから、問題にはならなかった。

が、時代は進み。

DTさんたちも、もう還暦です(問題となる行為が9年前だとしても当時50歳)。

後輩が連れてきた若い女性にとっては、おじいちゃんです。

もしかして、この年の差が、今の問題に発展したのかなぁとも。

 

芸能界きってのモテ男でナンパ師だったMさんは、若い気持ちのまま女性と一夜を共にしたのかもしれません。今まで通り。女性のほうも抱かれて嬉しいと思っているに違いないと。だから、悪意はなかったのだろうと思われます。問題になるとも思っていなかった。

でも、老いは残酷です。

女性のほうは、あきらかに、Mさんを老人としてとらえいて、拒否反応も示しています。

この認識の差が、今回の騒動につながったのだろうなぁと。

 

なんか、「ベニスに死す」を思い出したりして。

若く瑞々しい美少年に惹かれて、若造りをして少年をストーキングする老醜ただようアッシェンバッハ

アッシェンバッハが追いかけていたのは、「若さ」そのものだったのかもしれません。アッシェンバッハが死んで物語は終わりますが、あのまま生きていたらどんな修羅場になっていたのか、今もときどき妄想します。

 

あの無敵なMさんにも、そういう時がきたのかもしれません。

Mさんとほぼ同年代の私は、その時の流れの残酷さにしみじみとしてしまいます。

そう、私たちは、もう歳をとったのです。

それは認めなくてはなりません。

 

認めた上で、新たなる「ステップ」に踏み出す他ありません。

還暦は、赤ちゃんに戻るという意味でもあります。

そう、一からやり直す時期なのです。

ゼロからではありません。

私たちは、60年生きてきて、いろんなことを学び、経験してきました。それだけは、若いものには負けていません。その年輪を武器に、一から人生を構築する。

それが還暦なのだと思うのです。