真梨幸子mariyukiko’s blog

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セクシー田中さん

正直、この事件について触れるかどうかずっと迷っていたんですが……。

 

でも、触れちゃいます。

 

触れる前に、ドラマ版「セクシー田中さん」を全話、見てみました。

とても、よかったです。(漫画は未読です)

ドラマ版はラブコメを前面に押し出しているということですが、それでも、刺さる言葉が満載で。

女とは男とは、結婚とは恋愛とは。現在の問題もいたるところで言及されており、ラブコメとはいえ社会的なドラマでもあると思いました。

で、九話と最終回のシナリオは原作者が書いたとのこと。

私的には、いい流れの着地だと思いました。

つか、言われないと脚本家が変わったの、気が付かなかったよ。

 

で、改めて思ったのが、、、、

 

なんで、あんな最悪な悲劇が起こったの?!

 

ということです。

セクシー田中さん」という作品のテーマは、こじらせた人たちがそれぞれの問題と対峙し、自分らしく前向きに生きる……と私は感じたのですが、そんな作品をめぐって、こんなに悲劇が起きていいんでしょうか?!

 

こうなると、改変とか原作レイプとか、そういうのは関係なくて、元凶は、

SNS」なんじゃないかと思えてきました。

私なりに経緯を調べていくと、

すべてのきっかけは、ある方がインスタで発信したちょっとした愚痴だったように思います。

本来は、親しい友人の集まりで愚痴ってすませばいいような話題も、今は、SNSで世界中に公開するという手段を安易にとりがちです。

 

で、詳しく事情を知らない有象無象がわらわら寄ってきて、

「それは酷い目に遭いましたね」とか「相手がわがまますぎますね」とか、無責任に同情したり、無責任に正義感を振りかざしたりします。

 

それを目にした当事者(原作者さん)が「あ、私、悪口を言われている?」と気を病み、さらにSNSで反論しざるを得ない状況に。

今度は、愚痴をこぼした人に攻撃の矛先が向けられる。

……泥沼です。

 

何度も何度も検証してみましたが、やはり、悲劇の元凶は「SNS」であるように思います。

 

そのやりとりをリアルタイムで目撃してしまい、

「あちゃ……、最悪な展開にならなきゃいいけど」と、ハラハラしていたところに、原作者の急死を知り、「えええええええ!」と、あまりの驚きに往来で声をあげてしまいました。

 

ボタンの掛け違いとはよくいいますが、それの最大級のやつ。

そもそも、ボタンだけつけて、穴をあけてなかったんじゃないか?というレベル。

もう、本当にあってはいけないやつ。

 

なんで、仲裁する人がいなかったのか。

なんで、当事者のメンタルをケアする人がいなかったのか。

日テレ、小学館は、その点を深く深く検証して、そして反省してほしいと思います。

 

 

 

 

 

原作と映像化についても、私見を述べておきます。

 

いろんなタイプの原作者がいると思いますが、

私の場合は、丸投げです。

お好きに料理してください。一切、口は挟みません……というスタンス。

一見、寛大に見えますが違います。

めんどくさいからです。私のことですから、かかわったら、あれこれと細かいことが気になって、本業が手につかなくなるとわかっているからです。

あと、「あの原作者は面倒だ。わがままだ」と思われたくないというのもあります。

つまり、「逃げ」なんですね。

もっといえば、自分の作品に対して不誠実なんです。

作品が子供だとしたら、子育てを放棄しているネグレクト。

だからといって、ただ放棄しているわけではありません。

単純に、いち視聴者として映像化を楽しみたい……という思いもあります。

「お手並み拝見」という姑的なちょっといじわるな思いもあったりします。

なので、映像化のお話がきたときは、

「シナリオは一切、読みません。口出しもしません。質問があったら答えますが、焼くなり煮るなりお好きしてください。でも、必ず原作より面白くしてください

とお返事するようにしています。

(でも、実際はシナリオはこっそり読んでいます)

あ、あと、私の原作はご存知の通り、登場人物がほぼ酷い目にあいますので、

「役者さんの負担にならないようにご配慮ください。特に、子役さん、動物の扱いは慎重にお願いします」

という条件はださせてもらっています。

 

3月に放送を開始する「坂の上の赤い屋根」は、それこそ2年ぐらいかけて、プロデューサーと演出家さんとシナリオライターさんが、丁寧に吟味してくださいました。

主人公は原作と違いますが、原作のテーマはしっかりと踏襲されています。

シナリオを読んだ限りでは、たぶん、原作以上におもしろい作品になっていると思います。

(一話、二話を試聴して、確信しました)

 

いずれにしても。

本当に、今回のようなことがあってはいけない。

特に、放送局及び制作者側、そして版元には深く深く考えて欲しいです。

本当に、検証してください。

つか、トラブルを回避するようマネージメントするのが、あなたたちの一番の仕事だと思います。それが、あなたたちの存在意義!

作家個人を矢面に立たせるようなことはしないでください。

 

っいうかさ、

なんなんですか、放送局も版元も、あんな冷たい数行の弔文をちょろっと掲載しただけで、手打ちにしようとしてさ!!

作家は、ただの使い捨てじゃないんだ! 消耗品じゃないんだ!

あなたたちは、作家が生み出した作品で、食っているんでしょ?!

 

ほんと、お願いしますよ!!!

 

 

 

本当に、本当に、お願いします。

 

ちなみに。

辻仁成さんのエッセイが、沁みます……

www.designstoriesinc.com