本題に行く前に、お知らせ。
本日発売の「Jミステリー2024 SPRING」(光文社文庫)に、作品を寄稿しています!
タイトルは「インクリボン」。
特殊詐欺シリーズの3話目です。
そして、デビュー作「孤虫症」の重版見本が届きました。
おかげさまで、13刷となります。
単行本から19年、文庫化されてから16年。
ありがたいことですm(_ _)m
さて。
この4月からはじまった朝ドラ「虎に翼」。
いたようでいなかった、新感覚のヒロイン爆誕!
伊藤沙莉さん、「ひよっこ」の「米子(さおり)」役が衝撃的でした。
なんなら、ヒロインよりも印象深かった……。
どう考えても憎まれ役なのに、憎めない。
気がつけば、米子のテーマソングまで登場。
主人公を完全に食ってしまった脇役といえば、たとえば「もーれつア太郎」のニャロメですが、まさに、米子はニャロメのような存在でした。。。。
ルッキズムの日本芸能界において、ここまでユニークな若い女優さんは久しぶりなんじゃないの?と。
以前は、樹木希林さんとか市原悦子さんとか、演技力とユニークさで主役を勝ち取ってきた女優さんも多かったけれど、平成も後半になるとめっきり少なくなってきました。主役を張るのは、みなさん、美男美女ばかり! ちょっと寂しいな……と思っていたところに、米子登場。
ワタシ、思いましたね。「この人は近いうちに、主役を張る」と。
その通りになりました。
さて、「虎に翼」は、日本ではじめて司法試験に合格した女性のひとりが主人公です。
言うまでもなく、法曹界が舞台となります。
そのせいか、女性の権利が1話から濃厚に描かれています。
戦前まで、女性には人権がないに等しく、禁治産者どうよう、後見人の男性(家長)の同意がなければなにもできませんでした。だから、嫁に行って子供を産むことが、女性の唯一の幸福でもありました。
「虎に翼」では、エキストラの通行人の女性ですら、悲しみを滲ませています。
今では、とても考えられませんね。
「ほんと、日本って野蛮な国だったんだな……」と思ったあなた。
実は、これは、日本に限らないのです。
欧米だって、女性が様々な権利を勝ち取るには、相当な時間を要しました。
例えば、フランス。
「マドモアゼル」という言葉の意味、ご存知ですか?
「若いお嬢さんってことでしょう?」
違います。未婚の女性のことです。もっと厳密にいえば、「父親の管理下に置かれている無能力者」という意味です。
フランスでは、1965年まで、父親の管理下に置かれている未婚女性は、父親の同意がなければ働くことも銀行の口座を作ることもできなかったそうです。結婚しても、そうです。管理するのが父親から夫にかわるだけで、自分の意思のみで働いたり口座を作ることができませんでした。1965年といえば、割とつい最近のことです。
当たり前のように権利を享受している現在の私たちですが、私たちの母親世代までは、女性はまだまだ不自由でした。
男女の給与が同等になったのも、ほんの三十数年前。
女性の権利が認められたのは、長い人類の歴史の中で、ほんの最近のことなんですね。
ちなみに。
「マドモアゼル」という言葉、本場フランスでは使わなくなっているようです。公文書では完全に消えたとか。
ベルばら世代のワタシにとって、「マドモアゼル」といえば、ジェローデルなんですが(これがわかった人はかなりディープですw)、今から思えば、ジェローデルはとんだ男尊女卑です。オスカルは彼と結婚しなくて正解でした(笑)